逆算したらもう余生

仕事、結婚、恋愛、すべてに疲れて混沌とする世界の狭間でひっそりと生きています。しばらくはブログ引越しの為、過去記事が多いです。

ボタンの謎(深夜の馬鹿力20161128の回)

(20161130)

毎週欠かさず聴いている伊集院光深夜の馬鹿力。先日の放送を聴いていたら、思わず「ガタッ」と立ち上がるエピソードがあった。しかも2つ。


1つめはオープニングトークで、ロボットのペッパーくんの話題になり、伊集院氏が、原稿を書くときTBSの近くのホテルにカンヅメになり引きこもるそうなのだが、そこのエントランスにいるペッパーくんの話をした。
そのペッパーくん、ほぼ間違いなくこないだ目にしたのだ。
と言ってもホテルに用事があったわけではなく、赤坂駅付近で用事があり時間つぶしに入ったオシャレカフェのトイレに行こうとしたらホテルが併設されていて、そこにペッパーくんがいたのだ。
初めて目にしたのだが、スッとこっちを見て気安く話しかけてきたのが妙に怖くて、5秒くらい見つめ合ったあと無視して逃げてきた。
イン◯ムニアというなかなか綺麗なホテルで、もしデートで赤坂のこんなシティホテルを取ってくれる素敵な男性がいたら多少の変態プレイは受け入れられそうだなと思うほどであった。


2つめは、伊集院氏が朝のラジオの企画で三十三観音巡りをしていて、千葉の内房を30キロ歩いたという話。
チーバくんでいうとお腹のあたりと言ってたので「おお。鋸山のあたりかな!」と思ったら本当にそこだった。


全くおすすめしない、と言い切っていたその道、なんと私も歩いたことがあるのだ。


数年前、近距離旅行で鋸山に行った。
大した山ではなくハイキングレベルであるのだが、その山は「犬と登れる」という売りがあったのだ。
で、車で向かい、山の南側の登山口から登り、まあ余裕だったので頂上付近のいくつかの見どころをぐるぐる見て回った。
程よく疲労感も出てきたので下山し始めたのだが、どうも変だなと思ったらマヌケなことに北西の下山道に来てしまっていた。
そこはあまり推奨されていない荒れたけもの道で、戻ろうと思ったときには逆に戻ることも難しい(高い岩を飛び降りたりしてきた)状況であった。
幸い、犬が野生力を発揮してアトラクションを楽しむように飛び跳ねていたからとりあえず下山することに。
降りきったところには駅があり、電車を使えば車が置いてある駅に行けるものの、犬がいるから乗れない。
そしたら今来た道をサクッと戻れるロープウェイを発見。しかも犬可。
喜び勇んで乗り場に行ったら、犬に10kgまでという制限がついていた。
うちの犬は普通よりでかい柴犬で13kgだ。(散歩のしすぎでガチムチになり今は14kg)
一応交渉してみたものの断られ、残る選択肢はただ一つ。国道を南下する、だ。
すでにかなり疲れていたが、Googleマップによれば1時間ほどで着くようだったからあとちょっとがんばればいいか、と思いサクサク歩き始めた。
ところが歩いている途中に、トンネルに出くわす。
伊集院氏も言っていたとおり、暗いし長いのに、歩道もなく白線もなく、あるのは
「歩行者と自転車の方は押してください」と書かれた謎のボタンだけである。
ふつうに進むには明らかに怖いトンネルなので迷わずボタンを押してみた。
ところが心がざわつくほど何も起こらない。
で、いろいろ考えを張り巡らした結果、伊集院氏同様、「きっと自分が淡く光ってるんだな!」と思い、もう一度押してとにかくトンネル内はダッシュすることにした。
走り慣れてないからダッシュで100m以上はかなりキツかった。しかしのんびりしていたらうっかり車に轢かれかねない。
死にものぐるいで走った。
途中から犬が「くらいところははしるげーむか!」と学んだらしく、いくつものトンネルに入るたび張り切って走ってくれた。
一番長いトンネルのときは出口の遠さから「光る私を見つけてええええ」(おそらく光は発してない)と心が叫びたがっていて、いや、まさに叫んでいたし、犬の体重10kgだと押し通してロープウェイに乗ればよかったとも思った。
疲れもたまりお腹も空いて何度も諦めたくなったが、どうにも自らの足で進む以外選択肢がないのだ。


吐くほど走りまくってようやく最後のトンネルを抜けたとき、恐怖と安堵ですでにやや涙ぐんでいた。
車についたときには、足の裏と犬のリードを握り続けた左手が痛かった。
宿に着いてから思う存分地ビールを飲んだことは言うまでもない。


放送を聞いてそんな思い出がブワーッと出てきたし、やはり尊敬する伊集院氏と同じ稀な体験をしていたことが嬉しかった。なので、もちろんいつもフリートークは面白いのだが、他の人にはいつも通りだったとしても個人的には今回は3割増しで楽しかった。


伊集院氏も言ってたが、私もいまだにあのボタンがなんだったのか知らない。
そして確かめに行くこともきっとないだろう。