逆算したらもう余生

仕事、結婚、恋愛、すべてに疲れて混沌とする世界の狭間でひっそりと生きています。しばらくはブログ引越しの為、過去記事が多いです。

柴犬・本気噛みのしつけ【最終判断】

(20181027)

このブログの動物カテゴリには、「本気噛みをする犬への対処法」についていくつか記事を書いてきた。
うちの柴犬・梅吉は、約14キロの7歳の大型の柴犬だ。
何針も縫う怪我も何度もしたし、消えない噛み傷跡が両腕、両手に多数、足にもある。
犬のしつけにはいろんな方法がある。
罰を与える、褒美を与える、薬物治療、など、どれも賛否両論あり、最終的には「その個に合った方法を」という風潮にある。
私は現在、発達障害のこどもたちを預かる仕事をしている。
たまたま巡り合ったその仕事は、私が長年悩んでいた犬の問題とリンクすることが多かった。

梅吉には、もうあらゆるしつけをやり通した。お互い辛い思いをするほどやり通してしまった。
最近は日常生活をする上で噛まれないようになっていた。
しかし、もし犬が病気や怪我で介護が必要な状況になった場合、さわれないのはとても困る。
そのような「悪い未来」も想定し、最後の悪あがきとして、昔からペットホテルでお世話になっている某有名トレーニングの先生にお願いすることにした。
その先生には半年前くらいの今年の春頃、トレーニングをしたいという話をしていた。
それが先延ばしになっていたのは、私が楽器を使った音楽活動をしていて、手を怪我するわけにはいかなかったからだ。
ようやくその活動に整理をつけ、自分の中でも梅吉に対して厳しくする覚悟を作った。
条件付けベースのしつけというのは、徹底的にやり続けなければならないからだ。

先日、梅吉のワクチンを打つために口輪の装着が必要で、前回も付き添ってもらったので先生に来ていただいた。すごく良心的なオーナーさんで、それだけだと無料でやってくれてしまうので、今回は訪問指導という料金の発生する形でお願いした。

先生が到着し、まずは注射を済ましてしまおうということになった。
前回は、病院についてから口輪をつけようとしたら非常に不機嫌になっていたので、家でつけてから病院(徒歩5分くらい)に行くことにした。
ところがそのわずかな道のりをなかなか歩かないくらい、梅吉はずっと口輪を取ろうとし続けた。
その間に、親指の爪がなにかに引っかかり割れてしまい、いつの間にか流血していた。
その手で口輪を取ろうとするから、病院についたときには、顔も前足も血まみれだった。
梅吉にしてみればいつもと違うことだらけでかなり興奮していた。人も犬もたくさんいる病院でギャンギャンに鳴いていた。
血をふこうとしたらとても怒った。が、優しくなだめながら拭き続けた。
幸い口輪のおかげで噛まれる心配はなかったので、うなっていたが顔と手を拭いた。

一人だったらできないことだらけだった。
先生もいるし、病院も混んでいたので、梅吉の様子がどんなにひどくても涙を堪えられた。

なんとか無事に注射を終え帰宅した。

改めて、今後のしつけ方針について話した。
私の覚悟と裏腹に、先生が出した答えは、「もう厳しいしつけをする必要がない」ということだった。

梅吉をよく知るその先生の見解。

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厳しいしつけというのは、飼い主側の根気もいるし、怪我のリスクを伴う。
本来、しつけというのは人間のエゴも含まれる。
その犬の特性によっては、たった一つの目標のためにたくさんの時間を使う。
それが犬にとっては生きている時間のほとんどになるかもしれない。
今現在、梅吉と私は、いろんな苦難を乗り越えて、工夫もした上で、日常生活ではほとんど噛まれない暮らしができている。
梅吉には、罰を与えるしつけは向かない。
だから、すごく美味しいおやつを使って、正しいことをしたときにご褒美を与えて、少しでも善悪がわかればいい。
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ということだった。
一見、しつけとしては、どこにでもある方法なのだ。
ただ、梅吉の噛みつきは、何をやっても防ぐことはできなかった。
罰に対してのしつけや、薬物治療のときは、多大な負担をかけてしまった。

行動治療というものは、正しいしつけをやり続けることに意義があると思っている。
特に知能に限界のある動物や人にはそれが非常に有効的かつ絶対なのだ。

今回先生に会う前に、あらゆることを覚悟した。
その過程で、日常生活が送れないくらい怪我を負うことも、お金がかかることも、優しい言葉をかけられなくなることも。
梅吉ももう7歳だ。最後の頼みだった。
でも、もう厳しくしなくていいのだ。先生の言葉を聞いたとき、私はとても嬉しかったし、安心した。
これからは、いいことをしたときに、梅吉が大好きなおやつをあげたらいい。
根気よく続けなければいけないのは心や体の痛みや苦しみではない。
「いいことをしたときに褒めておやつをあげる」なのだ。
お互いに幸せな方法が最後にいきついた答えとなった。

先生とは、何度もたくさん話をした。梅吉のこともとてもよくわかってくれている。
これからもホテルに預けたり、シャンプーしたり、爪を切ったり、病院に付き添ってくれたり、協力をお願いしながら、なんとかやっていこうということになった。口輪装着をはじめ、先生のプロフェッショナルな技にはいつも感動する。
できれば名前を出したい先生なのだが、今回は「こういう仕事をしていてこういう話をするのもなんですが」という前提で色んな話をしてくれた。とてもいい先生だが、営業妨害になるような噂が立つのも困るので匿名とさせていただいた。

未来の見通しがわかると、とても楽になる。

これからも梅吉とは戦っていく。そして平和に元気に暮らしていく。
しつけのブログはこれが最後になるかもしれない。
今までの記事を含め、愛する犬の噛み付きで悩む人が少しでも心が楽になるよう、情報が届きますように。